派遣村に行ってきた 

年明け早々、友人と待ち合わせして、派遣村に行ってきた。

感じたこと。
ごく普通の人たち。
宗教や政党の色はなかった。
よくこうした集会だと、あっち系の宗教関係者や某政党の色があるようなイメージだけれども、実際、この目で見たところ、まったくそんな気配もなかった。
ボランティアをしている女の子たち、ボランティア登録しようしている男性、寄付をしている年配の人、お米をもってきた学生風の人。
みんな普通の人たち。
何かしなければという思いで集まっていたように感じる。

ホームレスになっていた人たちを見ると、たしかに身なりが汚い人もいた。
でも、こざっぱりしている人もいた。
どこかの工場の作業衣のままの人もいた。
みんな普通の人たち。30代そうな若い人もいたし、50代、60代のおじさんたちもいた。

全体的に見ると、朝、パチンコ屋の前で、ズラーって並んでいる人たちとそんなに変わらない。
どこかで見た風景。そう、JRAなどの競馬場のところで並んでいる人たち。
失礼かもしれないがなんとなく似ていた。

要領がよいわけでもなく、頭がよさそうでもなく、ただ、人がよさそうで、言われたことをだまって素直に従うような 並んでいる人たちを見て、そんな雰囲気を感じた。
中学校や小学校のとき、クラスに一人か二人、そういう子がいた。

もし彼らに悪知恵や力があれば、ヤクザや犯罪者になっていたかもしれない。
しかし、彼らは助けを求めて、この寒空の中、日比谷公園まで来ている。

様々なブログを見てみるとと自己責任論が突出しているけれども、ぼくが感じたのは、自己責任論だけで解決できないもっと大きな問題があると感じた。

派遣という働きが雇用の調整弁になっていたことは確か。
日本の経済を立て直す改革には、派遣法は必要だったかもしれない。
グローバル化の時代、外国に雇用が奪われるのではなく、国内で雇用を確保するための必要悪のような政策。
ただ、不景気になって、雇用契約が切られたときの彼らの受け皿がなかった。
先手を打って、大きな受け皿を用意すべきだった。
不景気で追い出された彼らが行く先はどうしたらいいのか。

今回、派遣村で並んでいたホームレスの中に女性の人の姿はいなかった。
おそらく、住み込みで働ける地方の旅館の仲居さんやもしかしたら風俗に流れてしまっているのではないだろうか。

仕事探しも簡単ではない。「仕事なんていっぱいある。甘えだ」という人に問いたい。
たしかに、世の中に仕事はある。無料で配られているアルバイト情報誌を見れば、ホールスタッフや営業、清掃、運搬など、様々な仕事を募集している。まぁ、ほとんどが短期だ。
しかし、「採用される仕事」がない。
あなたが経営者なら、このようなホームレスの人たちを積極的に雇うかどうか。
住居も与えて仕事も教えて給料も払う。
なかなかそうした仕事が、この不景気でなくなってきている。
今仕事がある人は、たまたま運がよかった。ただそれだけだと思う。

幸い、派遣村で紹介されていた仕事の一つに、地方の農場の紹介があった。
住み込みで養豚や養鶏の仕事だ。

養鶏場に行った事がある人ならわかるけれども、鳥インフルエンザ対策でビニルで覆われ、においもきつい。こうした仕事が紹介されている。
大変な仕事だ。正直、ぼくはあまりやりたくない。
しかし、誰かがやらなければいけない大変な仕事。
そうした仕事をしている人に感謝しなければ。
話がそれてしまった。

ぼくの考えは、今こそ、こうしたホームレスになってしまった人の受け皿として農業支援を通じて生活支援するべきではないかと思う。
政府は国民に給付金を配るのではなく、むしろ食糧安全保障の観点からこの給付金を農業再生に充てたら、国民みんなが納得できると思う。

そして、ホームレスの人たちで希望する人には、農業従事支援制度という形で、地方の田舎に定住し、農業従事した場合に、生活費を補助して支給する。そんな制度が出来たらと思った。
なんだか、どこかの政党の農家所得補償制度みたいだ。

先日裁判所に傍聴しに行った時、生活保護を受けていた若い女性は、ギャンブル依存でパチンコに生活保護の費用を充てていた。そして麻薬にも・・。

ぼくは生活保護支給には否定的なイメージを持っている。
最後のセーフティーネットとして必要だと頭では理解しているけれども、途上国の頑張っている子供たちの姿を見ている分、心では納得できないところがある。
比較してはいけないけれども、路上で花やハガキを売ったりしているホームレスの子供たちと、日本でホームレスになっている人たちを比べてしまう。

自分で何か商売を始めようとして頑張っている生活保護の人がいたらすごく応援したいし、セーフティーネットとしての生活保護支給は必要だと感じる。
しかし、ギャンブルにつぎ込むための生活保護支給には否定的だ。

しかし、これといって、今、目の前のホームレスの人たちを救うすぐに解決できる手立てはない。
生活保護による支援は当面必要だと思う。
そして、政府はすぐにも受け皿となる制度をつくり、これから増大していくホームレスの人たちを救っていくべきだと思う。

明日はわが身。ぼくの妹は派遣社員だ。

少額だけれども寄付をしてきた。

雨が降っていなくてよかった。この寒空の中、本当によかった。
早く春が来ることを望む。