大学に変革を 学生の視点で考えた新しい高等教育制度の3つの提案

教育の原点は何か
ぼくの考えだけど、教育の原点は、「議論」にあると思う。
 
いまやインターネットで何でも情報が揃う時代。
MITやスタンフォード、UCバークレーで使うパワポも無料でパブリックドメインとしてインターネットに公開されている。
知りたい情報もグーグル先生に聞けば一発で教えてくれる。
わからないことも、はてな教えてgooに聞けば、日本中の、いや世界中から、専門家並みに詳しい人が教えてくれる。
では何のために大学に行くのだろうか。
卒業資格を得るため?
おそらく、紙ペラ一枚の卒業証書以上に何かを得る場があるはず。
それが、友達や仲間との交流、何かに打ち込んだあとの達成感。人それぞれ。
学問の方には、何か得られるものはないのだろうか。
弁護士になりたい人は、法学サークルや司法スクールのダブルスクールは当たり前。
公務員になりたい人も、公務員試験対策のスクールに通う。
 
単に数式や用語を頭に詰め込む教育が変わりつつある。
携帯でメールしながら、授業を受けるなんてのは普通になりつつある。
エンピツでノートに書くより、携帯で打ち込んで、メールした方が早い。
板書された黒板をデジカメで撮る学生も。
ノートパソコンを持ち込んでいる学生はまだ少数だが、それも時間の問題。
わからない語句や疑問に思ったことをすぐにネットで検索。
パソコンにemobileつなげて、ustreamにアップすれば欠席した学生も参加可能。
リアルに出席しなければいけない理由が薄らいでくる。
先生の役割に変革が必要になった。
 
より実践的な具体化した授業を提供しないと、学生はついて来ない。
ひどい先生になると、教科書を棒読み、自分のノートを黒板に板書するだけ。
そんな中、学生を何時間も硬いいすに座らせるなんて、ある意味、拷問にちかい。
 
先生も試行錯誤しながら、パワーポイントを活用する先生もいるけれども、なかなか生徒を惹きつけられずに悩んでいる。
大教室で黒板に先生が書いたものをノートに写す時代は終わった。
試験の過去問題も昔はコピーだったが、今はCD/DVDの時代。
一部はネットで公開されてもいる。
辞書持込OKのテストでは、携帯片手にテストを受けている学生も珍しくない。
レポートもメールで。しかも件名なし。
 
教育者も意識改革が迫られている。
単に黒板に書いたものを覚えさせる時代は終わっている。
むしろ、議論やワークショップを通じ、学生に考えさせるきっかけを提供することが授業・教育の本質になりつつある。
また、授業の質を高めなければいけない一方、大学の収入を増やさないといけないジレンマもある。
第3者評価 360度評価が正しいとは思わないが、少なくとも、教授の評価を論文数だけで評価する時代は終わった。

本来の大学の機能・役割にズレが生じているような感じがする。
大学自体が変わらなければ、教授も学生も変わらない。

 
そこで、提案。
1.大学3年次の編入枠10%ルール
2年生(2回生)までの成績とTOEICやその大学独自の試験などで編入できるようにする。
一部の大学で実施しているけれども、10%枠を制度として全ての大学・学部に義務付けさせる。
もちろん海外からの学生もOK.
優秀な人は、他大学へ進学。
成績順で上位90%に達しない学生は3年に進学できない。
ずっと2年生のまま。
それに、実態として、入学しても中退する学生がいるので、3年進学時には定員が減っているのも事実。

  • 大学側のメリット

入学金が入る。
優秀な人間が来る。
外部の人間が入ることによる活性化。

  • 大学側のデメリット

学生流出の危機。
評判のよくない大学は淘汰される傾向に。
個性を打ち出さないといけなくなる。

  • 学生のメリット

志望校ではない大学に進学したとき、仮面浪人なんかしなくてすむ。
チャンスが増える。
学部転学の機会。
文系学部から医学部に行けるチャンス。

  • 学生のデメリット

定員の10%は3年次に進学できない。
あまり遊べない。
成績のよくない学生(成績のよくない順の定員10%)は、3年生に進学するには、他の大学に転校しないといけなくなる。
金がかかる。

 
構想は、アメリカのコミュニティカレッジから4年制の州立大学に進学した友人を見て考えた。


2.単位毎授業料制度の義務付け
今は授業料を年額一括支払いだけど、これを科目・単位ごとの支払いにする。
一部の私立大学では既に実施。
欧米の大学では当たり前。授業毎(単位ごと)の支払い。

  • 大学側のメリット

教授ごとのコストバランスが明らかに。
「あの教授は、コストパフォーマンスが悪い」とか・・。
教授にとっては、痛手。怠けられない。魅力的な授業を作っていかないといけなくなる。
それによって、競争が生まれる。
単位取得を厳しくすることで、再履修者が増え、授業料の増加に。

  • 大学側のデメリット

安定した収益にならない。
学生人気度が授業料と比例。
教授間格差が表面化。対立も。
賃金一律同額の原則が崩れる可能性あり。
人気のある教授は他大学に引っ張られる。

  • 学生のメリット

家計で支払うことのできる額に合わせて、授業・単位を取得することが出来る。
一回の授業にいくら払っているかがわかりやすい。
NOVAの授業料よりも高いことがわかるので、さぼることがなくなる。
1回の授業あたり、3000円も払っていると思えば、気合も入る。
休講に厳しくなる。こんな授業なら授業料返せーと叫びたくなる。

  • 学生のデメリット

単位取得が厳しくなると、再履修で金銭的な負担が増える。
おのずとしっかりと授業の元を取らないと損した気分になる。


3.卒業定員制度の導入
卒業できる人数を入学者定員と同じ、またはそれ以下にする。
単位をとっても成績が悪ければ卒業できない恐るべし卒業定員制。
今の現状は、定員割れを起こしている大学がある一方、定員を若干超えて、受け入れている大学もある。(特に人気のある大学)
成績平均値の成績順に卒業が出来る。
平均値が低い学生はいつまでたっても卒業が出来ない。
たしか隣の韓国が卒業定員制をしている。
(大学入学を易しくして、定員の 130%くらいを入学可能にし、その代わりに定員の 100%以内だけを卒業させる卒業定員制)
この制度に編入枠10%ルールを組み合わせる。(ハイブリッド!)

  • 大学のメリット

大学のレベルアップに。

  • 大学のデメリット

キレル学生が増えるかも
教授も学生評価を厳密に公平公正に評価しないと訴えられる可能性がある。

  • 学生のメリット

友人がライバルにもなる。勉学に切磋琢磨しなければならない。

  • 学生のデメリット

遊べない。
成績を上げる努力が求められる。
 

 
乗り換えが出来るキャリアパスを作ることが大事だと思う。
例えば、自分は医学部に進学したけれども、やっぱり法学部に行きたい。なんてこともある。
そんなとき、アメリカの大学だったら、(総合大学だけだけど)簡単に出来るのに、日本の大学は入学した時点の学部で卒業まで決まってしまう。
偏差値だけで学部を決めてしまったなんてことが往々にある。
大学に入ってから、自分のやりたいことに気づくこともある。
そんなときに、ふりだしに戻らず、気軽に曲がれるキャリアパスは必要だ。